盆栽は自然の景色を小さな鉢の世界に表現します。

自然が良いといっても自由奔放に育てるのではなく、自然界の見栄えのよい木を手本につくるのが盆栽です。

見栄えが良いというのは、断崖絶壁にそびえる松、光をもとめて枝を伸ばす雑木類、風景のように、その木の種類がもつ特徴をいかして、形づくることがポイントです。

育てる木の種類に向き不向きな樹形がありますが、盆栽の代表的な樹形をまとめました。

盆栽の樹形

直幹

幹がまっすぐに伸び、立ち上がりから樹芯までコケ順が素直なすがた、根も八方根張り、幹のコケ順のよさと好条件でのびのびと育ったさまです。

すべての樹形で基本となります。

 

模様木

幹が立ち上がりから左右に曲をもち、模様をつくって伸びていく形です。
前後の模様も前かがみになっている方がよく、枝にも曲があるとさらに模様木らしさが強調されます。

ただし、幹も枝も極端な曲つけはわざとらしくなります。

直幹と模様木の中間ぐらいのものは「立ち木」といいます。

 

斜幹

樹芯が左右一方に傾いたものを斜幹といいます。

まっすぐ伸びていても、曲があってもよいのですが、全体が風に吹かれたように、一方に寄っているさまです。

ポイントとなるのは、傾いたほうと反対にある根張りが木を支えているようだと、安定感があっていいです。

風下方向の枝を伸ばすとさらに斜幹らしさがでます。

 

吹き流し

斜幹に似ていますが、すべての枝が左右どちらかに、風に吹かれてようにかたまっているすがたです。

 

文人木

細い幹に味わいのある曲がつき、枝葉は少なく一の枝を高くして、その幹のか細さを強調します。

枯れたような軽い味わいが持ち味で幹は左右いずれかに少し傾かせるのがよい。

 

懸崖

立ち上がりから幹が下垂しているのが「懸崖」
立ち上がり枝が下垂しているのが「半懸崖」です。

懸崖は幹が鉢の縁より下がるので、飾るときには台が必要になります。

樹芯は正面に向けて手前に下垂させて飾ります。

 

双幹など

立ち上がりから2本以上の幹が出ているものを「多幹」幹が1本の場合は「単幹」で、2本が「双幹」と言います。
3本は「三幹」ですが、5本以上は「株立ち」といいます。

幹の数が2本以外は偶数のものは嫌われます。
2本の大小の差が小さいと「夫婦双幹」大きいと「子持ち双幹」といいます。

 

蟠幹(ばんかん)

根元付近に幹が極端に曲をつくっているものを「蟠幹」といいます。

 

根上がり

根が露出して幹のようにみえるのが、「根上がり」といいます。

 

その他

ケヤキによくみられる、直幹の先に枝がたくさん吹いている「ほうき立ち」
伏せた幹から枝が立ち上がった「筏吹き」、石にからませ磯や渓谷のようすつくる「石つき」などの樹形があります。

 

盆栽の樹形をつくるには、主に針金かけと剪定で行います。

枝の種類と忌み枝

盆栽の樹形をつくっていくときの、基本は不自然な枝は取り除きます。
剪定のときに、切り落としたい「忌み枝」をいくつか説明します。

 

交差枝

枝どうしが交差した枝、どちらかを切るか針金で矯正する。

 

立ち枝

まっすぐ強く伸びだした枝は、勢いが強いので樹形を乱しやすいので切る。

 

逆枝

枝の根元に向かって伸びる枝、切るか針金で矯正する。

 

落ち枝

下向きの枝、勢いこそないですが、樹形を乱すので切ります。

 

車枝

幹の同じ位置から3方向以上に枝がのびているもので、幹がそこだけ太くなってしまうので、1本を残して切り落とす。

 

向かい枝

盆栽の正面に突き出した枝、後ろ枝は大切ですが、前にでる枝は下半分にはつくらず、上部に短いものを残すようにする。
その方が幹の美しさ、大木の感じがだせます。

 

かんぬき枝

かんぬき枝とは、幹を貫くように2方向にのびる枝、どちらかを切ってしまうか短くします。

 

平行枝

左右交互にならずに、近い位置で同方向に2本出ている場合は、どちらか1本にして枝順をまもるように剪定します。

 

腋枝(重なり枝)

枝元から出た不定芽。切り落とします。

 

カエル又

V字ではなくU字型にカエルの股のような枝が出ている枝。太いものは切り落とす。

 

まとめ

盆栽は自然をお手本にしながら、その樹種らしさを表現していきます。

剪定作業を行うときの、不要な枝を知っていると迷うことなく作業ができます。